会社設立にあたって決めなければならない資本金についてご説明いたします。
資本金とは
<資本金とは>
会社が事業を始めるにあたり、設備投資・原材料の仕入れ、従業員の雇い入れ等の元手が必要になります。会社はこの「元手」をとなる資金を出資者から出してもらうことで、事業をスタートします。
出資者が会社に対して出資したお金を資本金といいます。
会社法の施行により、資本金が1円でもよくなりました。では、資本金は1円でよいことになりますが、果たしてそうでしょうか。
会社を設立する目的の一つに社会的信用を得ることがございます。
資本金1円で会社を設立してから、会社名義の銀行口座を開設しようとしたら、開設できなかったというケースもあります。
以前は、株式会社を設立するのに最低1000万円の資本金が必要でした。そのため、個人事業と比べて社会的信用力アップしておりました。今では、1円の資本金で会社をつくれるようになったことで、「株式会社」というだけでは信用を得られない時代になったといえます。
資本金の要件がある許認可事業の例
資本金は許認可が必要な事業の場合、資本金要件がございます。
参考にしていただきまして、資本金をお考えください。
事業内容 | 資本金要件 |
---|---|
建設業 | 500万円から2,000万円 |
労働者派遣事業 | 1,000万円 |
有料職業紹介事業 | 500万円 |
貨物運送事業 | 開業に必要な資金の50% |
旅客運送事業 | 開業に必要な資金の50% |
旅行業 | 300万円から3,000万円 |
貸金業 | 500万円 |
金融商品取引業 | 1、000万円から5,000万円 |
資本金による税金面
資本金と税金の関係です。参考としてお考えくださいませ。
資本金 | 法人税率 | 事業税率 | 交際費 | 特別償却適用 |
---|---|---|---|---|
1億円~10億円以下 | 30% | 5.25% | 全額損金不参入 | × |
1000万円~1億円以下 | 800万円まで22% 800万円超 30% |
600万円の90%まで | ○ | |
1000万円以下 | 5% |
※上記のように資本金の額により、税率等が異なります。
資本金と消費税
原則、資本金1,000万円未満(9,999,999円)で会社設立すると、設立後2年間は消費税を納めなくてもよいのです。
資本金と法人住民税の均等割り
会社が赤字でも、毎年納めなくてはいけない「法人住民税の均等割り」という税金があります。この税金は資本金によって異なります。
例)従業員50人の場合
・資本金が1,000万円以下は7万円
・資本金が1,000万円超は18万円
運転資金面
会社設立時に資本金を銀行に預けます。この資本金はいったん預けた後、それを開業資金や運転資金に回すことができます。ただし、個人的なものに使ってはいけません。
業種にもよりますが、初期費用+設立時から3~6か月程度の経費を運転資金と設定することが目安になります。
そうすることにより、取引先からすぐに入金がなくても、安心して事業に専念することができます。
資本金の決め方
資本金の決め方の目安として参考にしてください。
初期費用+(1か月に必要な運転資金×3~6か月分) |
初期費用 | 運転資金(1か月分) |
---|---|
・事務所・店舗の初期費用 ・会社設立費用 ・設立前にかかる経費 |
・事務所・店舗の家賃 ・設備、備品の購入費用 ・商品の仕入れ ・消耗品 ・人件費 ・通信費 ・交通費 など |